藍色回廊殺人事件  
深い深い感動を呼ぶ内田文学の金字塔浅見光彦は「四国三郎」を救えるか?「四国のシンボル・吉野川がいま死のうとしている……」浅見光彦が徳島で出会ったのは、河口堰に反対する人々の悲痛な叫びであった。吉野川を遡るようにして辿り着いた、12年前の殺人事件。その恐るべき真相とは?「殺される」というメッセージを残して、男と女が徳島・祖谷渓(いやけい)の谷底に消えていった。それから12年──。いま、徳島県の吉野川河口堰建設計画は、地元住民を二分して、論争が白熱化している。その渦に巻き込まれた浅見は、計画の経緯を遡るうちに殺人事件との接点に気づいて……。「藍色回廊」と名付けられた吉野川の美しい自然をめぐって、欲望と愛憎が交錯する中、浅見光彦の推理が冴える。

講談社HC(本のカバーから引用)

藍色回廊殺人事件
この本の中で吉野川の第十堰の可動堰化について憤っていましたね!これほど怒るというのも珍しいのではないでしょうか?

内田先生はその小説の中に、そのときどきの社会問題をしばしば取り込むのですが、原発のときはこれほどではなかったたですね!

「赤い雲伝説殺人事件」「若狭殺人事件」でしたか・・・。

このときは、事実をたんたんと説明していましたし、先生自身デリケートな問題としてとらえていたように思います。

しかし、この本では第十堰の可動堰化を真っ正面に据えています。

私はこの本を読むまでは、吉野川のことも第十堰のことも、知識としてはまったくありませんでした。

そこでYAHOOで検索してみたところ、驚きましたよ!「第十堰」のキーワードだけでけっこうありましたし、みなさんがこの問題に真摯に取り組んでいることが分かりました。

吉野川のことを建設省が「四国三郎」と名付けているというとが、ここで分かりました。利根川が「坂東太郎」、筑後川が「筑紫次郎」だそうです。(^o^)

260年前に造られた「第十堰」を壊し、新たに「可動堰」を建設するという計画だそうです。1000億円の巨費を投じ、年間7億円の維持費がかかるというのです。これは、税金から支出するのだし、地元負担金もたいへんでしょうね!

問題はなぜ可動堰かということのようです。つまり必要とする理由が150年に1度あるかないかの洪水対策にあるようですが、その根拠があいまいということのようです。

そして、長良川の例をひくまでもなく、かえって自然が損なわれる恐れがあるようですし、なによりもはじめに「可動堰ありき」ということに対する反発があるようです。

先生の憤りが分かりました。

 ただ、これもデリケートな問題を含んでいます。この不景気に1,000億を超える公共事業は魅力ですよね。それと自然を守るということ。このふたつのことを考えると悩ましいですよね。

 先生はプロットなしで書き進めるということは、既に周知のことなのですが、この本であらためて感じたことは、光彦の旅先での体験と先生の体験は重なっているのですね!
そう思って読むとそれはそれで楽しいかなと...。 そう思いました。

1998.11.23