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ミステリーについての一考察

島田荘司の書いた「本格ミステリー宣言2」での氏の、本格ミステリーに関する考えを整理してみます。

ポーの「モルグ街の殺人」という新芽を皮切りに、幻想小説から枝分かれし、非日常的事件の魅力に傾倒した小説群。これが一筋。

この小説群が多く犯罪や殺人を扱い、非常な成功を収めていることに刺激され、ファンタジーの要素は排し、より実務的でリアルな形で犯罪(多くは殺人)を描くことを目的とした小説群。これがもう一筋。

便宜的に前者を「ミステリー」と呼び、後者を「推理小説」と呼ぶことを島田荘司は提案しているのです。

さらに、これら二グループのうち、前者においてはより原点の精神への傾倒度の高い作品群。後者においては論理性がより高度である作品群に対し、それぞれ「本格」の語を冠するのがよい。

「新本格」(これは、主に綾辻行人らの京大ミステリー研出身者を指すようです。)の設定には、次のようなもの(綾辻行人の作風)があり、それが呪縛となっているのではないか。という疑問も呈しています。

1.事件の舞台は、孤島なり、吹雪の山荘なりの「閉鎖空間」である。

2.事件は、施錠可能の西洋式ドアが付いた各部屋を持つ。

3.ここに、居住、もしくは招かれた人々は、小説の冒頭で、全員がきちんと読者に紹介される。

4.事件は血塗られた惨劇で、しかも密室内であることが望ましい。

5.ここへ、探偵役が、外部から招かれて登場する。

6.惨劇は複数起こる。しかし犯人は依然不明である。

7.探偵役により、最後に犯人が指摘されるが、これは読み進んできた読者にとって、必ず意外な人物でなければならない。

なかなか難しいですね。ただ、言えることは、島田荘司は、これらを分類するのが目的ではないということです。こういう分類をすると、いかに本格ミステリーが少ないかということを憂慮し、新進気鋭の作家に次世代の夢を託しているのであります。

本格ミステリー小説とは、科学の持つ論理性、論文性と、物語としての情緒性、文学性を「遺伝子結合」させた新文学である。

だいたいの構図は、見えてきました。ただ、私がこのことを論ずるには、様々な分野にわたる読書量が足りないようです。

ひとまず、これで終わりにしましょう。いつか、機会があればまた考えてみたいと思います。

[参考図書]
「本格ミステリー宣言2」(島田荘司)

1998.12.27記