| 最近の推理小説の変遷 推理小説は、現在、一般的にミステリーというふうに言われていますが、昭和22、3年頃、つまり、旧仮名で小説が書かれていたころは探偵小説と言われていました。
それが、探偵の偵という字が当用漢字にひっかかって使えなくなった。そのために考え出されたのが推理という言葉を翻訳してそれに当てはめたのが、「推理小説」という言葉の成り立ちであります。
detective story(探偵、刑事の) whodunit(推理小説)
探偵小説というと、やはり江戸川乱歩ですね。ほかには、小酒井不木、小栗虫太郎、海野十三、大下宇陀児(うだる)らがいます。
昭和20年から30年の10年間を主に支えた本格的な推理作家がふたりいます。ひとりは横溝正史であり、もうひとりは高木彬光です。
そうして、昭和30年になると松本清張が「点と線」で日本の推理小説界に大きな影響を与えます。昭和30年代から40年にかけての日本の推理小説の流れは、社会派という言葉に象徴されると思います。
内田康夫もこの松本清張の影響を受けていると率直に語っています。
松本清張は、江戸川乱歩賞受賞作家ではなく、芥川賞受賞作家で、あくまでその狙いは、人間を書く小説、そのヴァリエーションとしてのミステリーという形になっているに過ぎないと言えると思います。
前回、紹介した「文芸ミステリー」「内田文学の金字塔」というキャッチフレーズは、出版社が適当につけたもので、あまりあてにはならないのですが、私にはたぶんにそこらへんを意識してのネーミングだと思えるのです。つまり、内田作品のテーマは、人と旅と謎ですが、一番重いテーマはやはり人だと考えるからです。
さて、松本清張以降は、ミステリー界も百花繚乱の時代に入りました。小松左京の「日本沈没」は、SFですが、当時、日本推理小説協会賞を受賞していますしし、ハードボイルド、アドベンチャーとなんでもありの状態ですね。
1998.12.20記 |