慢性疲労症候群

 

1999.4.24記 

青森県のDr.小田正博さんのHPから引用させていただきました。
http://www.hi-net.ne.jp/~ma/

慢性疲労症候群

”つかれた、だるい、あたまがおもい!”などはよく経験しますね。

そんなとき、なにかの病気とおもって病院へいって検査をうけるひとも多いと思います。

いろんな検査をされてなにかの病気が発見された場合はべつとして、なにも引っかからなくて、何の病気もみつからない場合には”たぶん疲れからきたのでしょう”といわれることが多いと思います。

そして、そのまま何の治療もされないで帰されます。

ほかの病院でも同じことをいわれます。

それでも、調子が良くならなくて、病院を転々とする人もおりました。

これは今の保険制度では”たんなる疲労”は保険診療の対象外となっていることにも一因があります。

慢性の疲労は病気とは認めてもらえなかったのです。

それが、10年前米国で慢性疲労症候群の診断基準がつくられ、我が国でも厚生省研究班の基準ができてから、慢性の疲労は市民権を獲得しました。

最近では診療報酬明細書に慢性疲労症候群という名前も目に付くようになってきました。

1.慢性疲労症候群ってなんですか?

慢性疲労症候群:chronic fatigue syndrome (CFS)は”からだがだるい”・”つかれやすい”といったことが急におこって、それが長期間つづいており、、それでも原因不明な病気をいいます。

最初は”かぜ”に似たような症状からはじまることが多くて、微熱・咽頭痛・関節痛・筋肉痛・頭痛・リンパ節腫脹・などの症状をしめします。

なかなか”かぜ”が治らないといって病院を受診しても”なんともない”といわれることがおおいようです。

また、思考力低下・集中力低下・抑鬱といった精神症状をしめすこともあります。

慢性疲労症候群は1987年米国のCDCで提唱された症候群です。

2.疲労感の程度はどのようにわけられますか?

慢性疲労症候群は、非常なだるさが6ッカ月続いて、休養しても回復しないものをいいますが、その疲労の程度は次のようになっております。(厚生省研究班1992)

 
performance status による疲労感の程度
0:倦怠感がなく平常の社会生活ができ、制限を受けることなく行動できる。
1:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、疲労感を感ずるときがしばしばある。
2:通常の社会生活はでき、労働も可能であるが、全身倦怠感のため、しばしば休息が必要である。
3:全身倦怠感のため、月に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である。
4:全身倦怠感のため、週に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である。
5:通常の社会生活や労働は困難である。軽作業は可能であるが、週のうち数日は自宅で休息が必要である。
6:調子の良い日には軽作業は可能であるが、週のうち50%以上は自宅で休息している。
7:身の回りのことはでき、介助も不要であるが、通常の社会生活や軽労働は不可能である。
8:身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している。
9:身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている。
 
3.慢性疲労症候群の診断はどうするのですか?

この病気は1985年、アメリカの内科の雑誌にEBウイルスにかかった人がその後非常な”だるさ”を訴えたことが報告されてから注目されてきました。

1988年にはアメリカ防疫センター(CDC)がこの病気の診断基準を発表しました。

我が国ではこのCDCの診断基準をもとに、1992年厚生省の研究班が診断基準を作っております。

ここではこの研究班の診断基準の要点を転載しました。

A.大基準(クライテリア)

1.生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6カ月以上の期間持続ないし再発を繰り返す。

2.病歴、身体所見、検査所見によって他の疾患を除外する。

B.小基準(クライテリア)

  ・自覚症状

   1.微熱(37.5-38.6度)・悪寒

   2.咽頭痛

   3.リンパ節の有痛性腫脹(頸部・腋か)

   4.筋力低下

   5.筋肉痛

   6.軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感

   7.頭痛

   8.移動性関節痛(腫脹・発赤をともなわない)

   9.精神神経症状

     羞明・一過性暗点・健忘・易刺激性・混迷・

     思考力低下・集中力低下・抑鬱

  10.睡眠障害(過眠・不眠)

  11.症状の急激な発現

   ・他覚所見(医師による)

   少なくとも一ヶ月の間隔を置いて2回認めること

   1.微熱

   2.非滲出性咽頭炎

   3.リンパ節触知または圧痛

診断

  T)1)大基準2項目+自覚症状6項目以上+他覚所見2項目以上
 
    2)あるいは、大基準2項目+自覚症状8項目以上

    1)・2)のとき、慢性疲労症候群と診断する。

  U)大基準2項目は備えるが、自覚症状・他覚所見が満たされないとき慢性疲労症候群疑診例とする。

    感染症のあとに発症したのが確実なとき感染後慢性疲労症候群とする。 
    
4.慢性疲労症候群の病因はなんですか?

現在の所まだはっきりとはわかっておりませんが、病因としてはつぎのようなものが考えられております。

   1.ウイルス感染

   2.免疫異常

   3.心身症

   4.アレルギー

   5.内分泌・代謝異常

慢性疲労症候群と類似の病気としてはつぎのものがあります。

   慢性単球増加症候群

   ウイルス感染後疲労症候群

   良性筋痛性脳脊髄炎

   自律神経失調症

   鬱病

   線維筋痛症

   慢性関節リウマチ

5.慢性疲労症候群の治療はどうするのですか?
 
効果的な治療法は今のところありません。

精神症状が強い時には抗鬱剤・抗不安剤が有効なときがあります。

関節痛・発熱・筋痛に対しては非ステロイド性抗炎症剤が有効。

予後は良好で、死亡例はありません。

予後は良好でも、からだの”だるさ”などの症状が長期間続きますので、社会生活に適応できなくなって精神的な悩みも強くなります。

その面からの心理療法が大切になります。