犯人当て序章 どちかの どちかのヒント わたかの わたかのヒント

私が彼を殺した(ヒント)

このページは犯人当てですから完全ネタバレです。注意!!

Friday, June 04, 1999 8:21 PM Subject: [mystery:893] WHO「私が彼を殺した」
しょうです。
「私が彼を殺した」の犯人を推理しているHPを見つけました。署名欄以下にURLと記事を記載しておきます。

これを見る見ないはもちろん自由ですが、犯人までズバリ言い当てています。もっとも私はもう忘れてしまっていて、何を読んでもピンと来ません。(^^;

東野圭吾「私が彼を殺した」
1999年2月に、講談社より 東野圭吾「私が彼を殺した」 が出版されたました。この作品は最後まで読んでも犯人が明かされないという、一風変わった作品です。

「読者は本当に推理をしながら読んでいるのか?」 という疑問のもとに世に出された作品であると聞いたことがあります。しかし、犯人がわからないことにはスッキリしないという人もいるでしょう。「君が決めるんだ」といっても何のことだかわからない人も多いでしょう。

そこで、MysteryMLで流れたメイルをふまえて、自分の推理を書くという暴挙を行ないました。 以下の条件を完全に満たす方のみ御覧下さい。

「私が彼を殺した」を読了している。
作者の意図をくみとり、自分で一度くらいちゃんと推理して1人の犯人を指摘した。
この推理が完全な答というわけではない、ということが理解できる。

http://www.swlab.csce.kyushu-u.ac.jp/~yano/hobby/watakare.html

まず便宜上、真犯人は「神林貴弘」「駿河直之」「雪笹香織」3人のうちのひとりであるとしておきます。また文中の(P.100)という数字は、本文の100ページということを意味します。

白いカプセルの謎
最後の段階(P.279)で、神林、駿河、雪笹の3人それぞれにチャンスがあったことがわかると思います。この時点でカプセルに関する謎は2つに集約されます。

神林がゴミ箱からとったカプセルのうち、残り1つはどこにいったのか?
駿河と雪笹、最後に薬壜からカプセルを1つとったのはどちらか?
穂高を殺したカプセルは、この2つのカプセルのうちのどちらかです。つまりどちらか1つは使われなかったわけです。では、その使われなかったカプセルはどこにあるのでしょう。

もし自分がそのカプセルをまだ持っているのであれば、それを加賀に提出することで、犯人ではないということを証明することができます。「私はカプセルはとったけど、使わなかった」ということで。

ですが、誰ひとりカプセルを持っていると名乗りでる人はいません。ということは、「神林がカプセルを仕込んだ」かつ 「駿河あるいは雪笹がカプセルを仕込んだ」 という状態で、そのうち一方は不発に終わったというわけです。

最後の言い合いでもわかるように、駿河か雪笹がカプセルを持っていた場合、どちらも仕込むチャンスがあります。では、神林にカプセルを仕込むチャンスがあったでしょうか。

P.82で、美和子は薬壜を神林の前に置いたまま席をはずしています。もし神林が薬を仕込むチャンスがあったとすれば、この時に薬壜に仕込む以外はありません。したがって、カプセルの謎1の答は、 薬壜の中が正解。カプセルの謎2はまだわかりません。

指紋の謎
次に、加賀刑事がいう「身元不明」の指紋についての謎は、以下の2点に集約できます。

身元不明の指紋がついていたアイテムはどれか?
指紋の持ち主は誰か?
ここで、重要な伏線が大きく関係しています。P.39ページで、 穂高は前の奥さんとペアのピルケースを持っている ということが述べられています。そして、P.122において、前の奥さんとペアで使っていたものは、穂高企画の事務所に送り返されていることが述べられています。つまり、事件の渦中にあったピルケースと同じ物が、この
事務所にあり、それがいつのまにかすり替わっていたのです。

したがって、指紋の謎1の答は、 ピルケース、指紋の謎2の答は、 穂高の前の奥さんということが推理できます。

真犯人
このピルケースを手に入れることができたのは誰なのでしょうか。言うまでもなく、穂高企画の関係者である駿河ただ一人だけです。なぜ、駿河はもとのピルケースと奥さんのピルケースをすり替える必要があったのでしょうか。言うまでもなく、その中に毒入りのカプセルが仕込んであったからです。したがって、カプセルの謎2の答は駿河 ということがわかります。

では、駿河がもとのピルケースと毒入りカプセルが入ったピルケースをすり替えたのはいつなのでしょう。これも重要な伏線があります。 P.101において、駿河はボーイにピルケースを渡す前に、 1度ポケットにしまっています。 すり替えたのはこの瞬間だと考えられます。その直前に1度ピルケースの蓋をあけて、中身を確認しているのは、もとのピルケースと毒入りピルケースの中のカプセルの数が同じかを確認するためです。

したがって、 真犯人は駿河直之 ということが推理できるわけです。

「ほかの方には何のことやらさっぱりわからないでしょうね。しかし一人だけ、今私がいったことの意味が理解できたはずです。そして理解できる人間こそが、穂高さんを殺害した犯人なのです」という加賀刑事のセリフから考えて、この推理が一番しっくりくるのではないかと思いますが、どうでしょうか。

「杜撰だ」という言葉をあちこちで耳にしますが、簡単すぎると誰でもわかるし、難しすぎると誰にもわからない。その間で作者はギリギリの最適値を導いているのだと思います。その苦労がカバー折り返しの「著者の言葉」にあらわれているのではないかと思いますが、「杜撰だ」というあなたはどうお考えですか?

しかしそれにしても穂高ってイヤな奴だね。

メフィストでの連載について
このお話は、現代小説増刊号「メフィスト」で連載されたものでした (ちなみに連載第1回目のタイトルは「誰かが彼を殺した」だった)。東野圭吾自身も「連載の方は仮の結末」といっているように、ノベルズでは、実は連載時とは犯人が異なっているのです。ちなみに連載の方ではP.276でお話が終わっており、犬にエサをやった人間を探せばそれで済むようになっていたのでした (つまり犯人は神林だった)。たしかに結末はノベルズ版の方がいいですね。

「どちらかが彼女を殺した」について
「私が彼を殺した」と同じように、読者が自分で推理するシリーズの第1作が 「どちらかが彼女を殺した」です。講談社ノベルズより絶賛発売中。加賀刑事と主人公のメタ推理合戦が最高に熱い作品です。