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ミステリーについての一考察

 雑誌とかで「ミステリーベスト100」とかいうの見たことありますよね?そこには、当代売れっ子作家である「内田康夫」「西村京太郎」という作家はでてきません。なぜなんでしょうか?そんな疑問が湧いてきたので少し考えてみました。

 私はジャンルに捕らわれず面白いと思った本を読むものですから、今までそんな風に考えたこともなく、自分で面白いと思って読んでるのだから、別にそんなことはどうでもいいじゃあないか!という気持もあるのですが、やはり私の好みのミステリー作家がでてこないというのは気になります。

 なんせ、売れているのです。ということは支持している人が多い!なのに、その「ベスト..」を選考している評論家達はなぜか評価していないようです。

 例えば音楽なんかはレコード大賞、有線大賞等々は売上げ、リクエストの多いのが決定要素ですよね?

 ミステリーに関して言えばそういうことではないようです。簡単に言えば一部の評論家の好み、特定の分野の作品についてのみで決められているようです。勿論、そうやって選ばれた作品が面白くないと言うのではありません。

 いったい「ミステリー」ってなんだ?そんな素朴な疑問を一度整理して考えてみたいと思いました。

1探偵小説〜推理小説〜ミステリーの定義

(1) ドロシー・セイヤーズ探偵小説の定義(1928年)
  探偵小説とは、犯罪とその捜査を取り扱った小説のうち、謎の設定とその解決が、もっぱら論理的操作によってのみ行われるもの

(2) 江戸川乱歩推理小説の定義(1951年)
  推理小説とは主として犯罪に関する難解な秘密が、論理的に徐々に解かれていく経路の面白さを主眼とする文学である。

(3) 斎藤栄推理小説の定義(1968年)
  推理小説とは、小説構成の面白さを、犯罪に関する謎という、一種の限界状況の中で、それを極端に強調した文学である。

(4) 甲賀三郎ミステリー小説の定義
  ミステリーには、些少のトリックを入れるが、探偵小説のような奇抜な殺人方法とか、意外なトリック、あるいは謎の解決などはいらない。もっぱら筋の運びに力を用いればいい。

2 ミステリーの型

(1) 謎とき型ミステリー
  古典的な本格派探偵小説。徹底したフェアプレーで、探偵と読者の知恵くらべが展開される。

(2) ハードポイルド型ミステリー
  普通は、犯人は誰か?の要素を合わせ持ち、時には謎解き的でもあるが、何よりもまず冒険小説で、私立探偵などが派手なスーパーヒーローとして荒っぽい立ち回りを演じる。

(3) 純文学型ミステリー
  登場人物の性格や互いのかかわり合いを掘り下げる純文学で、たまたま犯罪(主として殺人)をテーマにしたもの。

(4) 追跡型ミステリー
  スパイ物が多いが、日常生活が舞台になる場合もある。「なぜ」とか「どうやって」ではなく、「次はどうなるか」「この苦境をうまく抜け出せるか」が興味の中心になる。

(5) フーダニット型ミステリー
  ミステリーの定石どおり、事件解決までの流れを追い(読者が驚くかは別として)結末にどんでん返しがあり、探偵もたいていは登場するが、推理には重きが置かれず、読者への挑戦も重視されない。登場人物の心の動きや反応のしかたに焦点があてられる。

(6) 準フーダニット型ミステリー
  フーダニットと純文学の手法を併用して、虚構の面白さの代わりに心理、社会、政治などの問題を中心にすえたものである。
ア 社会政治物
  暴動や大事故、戦争など、身近に起こりうる出来事の中を生き抜こうとする主人公が描かれる。

イ 警察物
  警官が警察組織の枠内で事件を解決する。ドキュメンタリー風の語り口が多い。

ウ 私立探偵物
  私立探偵に限らず、保険調査員、借り逃げ調査員、弁護士、一般市民などあらゆるタイプの人間が探偵役を務める。

エ 心理物
  心の病が主人公の身近の人々の生活をおびやかす。殺人事件がらみの話が多い。

オ メカニズム物
  ビジネスや政治の巨大なメカニズムにふり回される人間を描く。社会政治物の視点をさらに拡大したもの。

カ 倒叙物
  犯人が早くからわかっているので、追跡してとり押さえ、処罰する部分に焦点がおかれる。たいていは社会、政治がらみで、サド・マゾ的色合いを持つものもある。

キ 悪漢物
  普通のフーダニットを陽とすれば、まさに陰にあたる。犯罪の計画を犯人の側から克明に追っていく。

ク ドタバタ物
  以上にあげた様々なタイプのルールや手法を逆手にとって、笑いの効果のみを狙う。

ケ 時代物
  過去の時代を舞台にしたもの。現代と異なる犯罪の性格や社会的、政治的価値をテーマにするものが多い。

 さて、こうやってみてくると実に様々な類型に分けられるものです。これ以外に分類されるミステリーはあるのでしょうか?私は、ほとんどカバーしていると思います。

最近よく聞く、「新本格派」あるいは「ミステリ」と呼ばれているものの分類はどうなんでしょうね?

これらの分類に従うと、内田康夫の小説は、「準フーダニット型ミステリー」のうちの探偵物であり、純文学的要素が強いと思いますし、西村京太郎は「準フーダニット型ミステリー」警察物で、追跡型ミステリーの要素が強いといえるでしょうか?

簡単に結論をださずにもう少し考えてみることにします。

それにしても、「ミステリー」と「ミステリ」の違いってなんだろう?(^_^ゞ
「本格派」と「新本格派」の違いは?

いや、そもそも「本格派ミステリー」ってなんなの?それは具体的にどんなもの?(^o^) 

そう言えば...。島田荘司が「本格ミステリー宣言」と「本格ミステリー宣言2」という本を書いていたっけ?まず、それを読んでみましょう!

[参考図書]
「ミステリーの書き方」(アメリカ探偵作家クラブ)
「ミステリーを書いてみませんか」(斎藤栄)

1998.12.13記