春の東の夜空を見上げてみましょう。逆J型に並んだ、一等星から四等星までの星たちと、その下の3個の星を結ぶと、あたかも天高く駆け昇るかのような、獅子の勇姿を描き出すことができます。この星の集まりが、あなたの誕生星座「しし座」です。 ギリシャ神話に伝わる「しし座」の物語です...。
知恵と勇気を振り絞り、12回もの冒険に挑んだヘラクレスが登場します。
そのヘラクレスが最初に戦ったのが、ゼウス神殿に現れる獅子でした。
この獅子は、ネメアの谷に住みついていたといわれています。デュフォンという化け物を父親に、エキドナという、上半身が女で、下半身が大蛇という怪物を母にもつ獅子は、不死身の魔力を秘めていたとされています。
家畜の牛や羊を食い荒らすだけでなく、ときには人間までも襲う人食い獅子として、ひどく恐れられていました。
ある夜、ヘラクレスは獅子を見つけました。今にも飛びかかろうとする獅子に、すかさず鋭い矢を放ち、見事命中させました。
しかし、獅子の強靱な皮に、ヘラクレスの矢はまったく歯が立ちません。太く堅いこん棒も、獅子の背に振り下ろすと、真二つに折れてしまいました。とうとう、素手で獅子に挑み、その首を締め上げ、やっとの思いで倒すことができたのでした。
ヘラクレスは、勇猛な獅子の死を惜しみ、皮をはいで身につけることにしました。すると、ふりかかる災難を次々と切り抜け、冒険を無事成功させることができたと伝えられています。
神々は、獅子の希にみる強さを惜しみ、天空に上げ、その姿を「しし座」に変えました。
「しし座」の心臓に位置する一等星レグルスは「王者の星」とされ、凛とした輝きを放っています。 |